普段の「ふりかえり」を見直す材料になればと思い、アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセットという書籍を買って目を通した。
まず「ふりかえり」が何(What)であって何のため(Why)に行うものかを確認した。それが分からないことには「ふりかえり」をできているのかどうか見直せないと思ったからだ。同書では以下のように述べられていた。
ふりかえりは、チーム全員で立ち止まり、チームがより良いやり方を見つけるために話し合いをして、チームの行動を少しずつ変えていく活動です
本書では、「学び、カイゼンし続けることで、変化に柔軟に対応でき、大きな価値を生み出し続けられるチーム」をアジャイルなチームと呼び、チームが目指す姿の1つとして定義します
本書で紹介する「ふりかえり」の目的は、チームを「アジャイルなチーム」へと近づけていくことです
つまり「ふりかえり」がその目的を達せられているかどうかはチームが価値を生み出せているかどうかで測れそうだ。では「価値」とは何か。上記の「アジャイルなチーム」の説明で引用されているアジャイルソフトウェア開発宣言には下記のような言及がある。
プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを 認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。
難しい話になってきた。チームや顧客とのコミュニケーションの量や質、リリース速度、そういうったものが価値になってくるのだろうか。話が大きくて自分の手には余る。
Whyから考えるのが行き詰まったのでWhatから考えてみる。つまり「チーム全員で立ち止まり、チームがより良いやり方を見つけるために話し合いをして、チームの行動を少しずつ変えていく」ことができていれば「ふりかえり」ができているとしてしまう。これなら自分にもとっつきやすい。次のような項目が見直しの出発点になる。
- チーム全員が参加しているか
- 話し合いがより良いやり方を探す方へ向いているか
- チームの行動に変化を与えているか
これらの項目を細分化すれば、どの範囲を「全員」とするか、人による発言の多寡、脱線の許容度合い、次に取るべき行動の具体化などなど、見直し対象をより明確にできるかもしれない。
見直し対象が見えてきたら個別に検討すればよい。ふりかえりガイドブックには「ふりかえりに関する悩み」の章があり、「どこまで関係者を呼べばいいのかな?」などよくある(と思われる)悩みについてアドバイスが記載されている。一つずつ取り入れていけば「価値」なるものに近づけるだろうか。
Howから考える手もある。ふりかえりガイドブックの「ふりかえりの進め方」の章で説明されている方法と自分たちの方法を比べてみるのだ。差分に意義があると感じられるなら自信を持てばよいし、そうでないなら改善点として進め方を変えてみればよい。手法もいろいろ紹介されているので自分たちに合ったものを探してみても楽しいかもしれない。
そのようなことを考えながらざっと目を通したが、一冊で基本的な考え方や進め方から各種手法やFAQまで網羅されていて、知識の薄い自分にはありがたい本だった。